思考実験

トロッコ問題ほか

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暴走するトロッコの進路を変えて1人を犠牲にし、5人を救うべきか。企業研修や大学の導入授業でこの問いに挙手を促すと、レバーを引くSwitchでは手が上がっても、1人を突き落とすFootbridgeに移ると教室が急に静まり、迷いが空気として見えてきます。

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テセウスの船は、部品を少しずつ交換していった船が、時間をへてもなお同じ船なのかを問う、通時的同一性の思考実験です。ここではまず、まったく同一の一つのものを指す数的同一性と、性質や見た目が似ていることを指す質的同一性を分けて、論点の混同を避けます。

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取調室で、相手と切り離されたまま「黙秘するか、自白するか」を選ぶとしたら、あなたならどうしますか。筆者はこの問いを最初に置くと、読者が「なぜ互いに自白が選ばれやすいのか」を自分の言葉で言い換えられるようになると感じています。

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哲学的ゾンビとは、外見も行動も脳の物理状態も私たちと同じなのに、主観的経験、つまりクオリアをまったくもたないと仮定される思考実験です。友人が足の小指をぶつけて「痛い!」と叫んでも、その痛みそのものはあなたには届かない。

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もし明日、あなたの“完全コピー”が何事もなくオフィスに現れたら、その人はあなた本人でしょうか。スワンプマンは、この直観を一気に鋭くする思考実験です。1987年にドナルド・デイヴィッドソン(Donald Davidson、1917–2003)が提示した原典では、沼のそばで本人が死に、

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病院で2人の患者が移植を待っています。そこへ中央の抽選システムが、健康な1人を無作為に選んで臓器を提供させれば、もっと多くの命を救える社会を想像してみてください。あなたはそれを是としますか、それとも拒みますか。

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VRゴーグルを外した瞬間、さっきまで本気でいた場所からこちら側へ戻ってきたような感覚が走ることがあります。筆者は2015年に青と黒/白と金のドレス錯視を見たときにも、同じ「見えている世界は思ったほど自明ではない」という驚きを覚えました。

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白黒だけの部屋から一歩外に出たマリーが、はじめて夕焼けの赤に触れる瞬間を想像してみてください。窓辺に広がる橙と深い紅は、波長や視覚野の情報処理を知り尽くしていても、それだけでは届かない何かを突きつけてくるように見えます。マリーの部屋は、メアリーの部屋とも呼ばれます。

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生成AIが自信たっぷりにもっともらしい答えを返す場面に触れるたび、筆者は「この応答は理解の結果なのか、それとも巧妙な手順の実行なのか」と立ち止まります。たとえば、知らない言語で届いたメッセージに、辞書アプリと細かな手順だけを頼りに“正しく”返信できたとしても、その言語をわかったことにはならないはずです。