最新記事
インド哲学入門|六派と輪廻・解脱の基礎
インド哲学は、紀元前1500年頃に成立したヴェーダを源流に、約3000年にわたって発展してきた思想体系です。西洋哲学が「真理を知ること」を軸にしやすいのに対し、インド哲学は輪廻の苦しみからの解放、すなわち解脱へ向かう知を重んじます。
哲学書の読み方|挫折しない3層読書術と選び方
哲学書は、難しいから挫折するのではなく、読み方を知らないまま原典に向かうからつまずく本である。実際、実存や観念のように日常語が専門用語として使われ、論証の前提が省略され、さらに哲学史の知識が足りないと、1時間に1〜5ページしか進まないことも珍しくありません。
ギュゲスの指輪とは?正義の正体を問う思考実験
ギュゲスの指輪は、プラトン国家第2巻に登場する約2400年前の思考実験である。語り手はソクラテスの議論相手グラウコンで、地中で見つけた指輪をはめると誰にも見つからなくなる羊飼いの物語を通して、「何をしても誰にもバレないなら、人は正しくいられるのか」という問いを投げかけます。
双子のパラドックスとは?時間の哲学を解説
双子のパラドックスは、一卵性双生児の一方が光速に近いロケットで宇宙を往復すると、地球に残ったもう一方のほうが年を取っているように見える思考実験です。1905年の特殊相対性理論から生まれたこの問いは、等速運動なら互いに「相手の時計が遅い」と言い合えるのに、なぜ再会すると若さの差が一意に決まるのか、
ニューカムのパラドックスとは|思考実験を解説
ニューカムのパラドックスは、ほぼ完璧に未来を予測する予言者の前で、透明な箱Aの1,000ドルも取るか、不透明な箱Bだけを取るかを問う思考実験です。筆者が企業研修や哲学カフェでこの問題を出すと、参加者はほぼ毎回一箱派と二箱派に割れ、互いに「それは明らかに損だ」と言い合って熱くなります。
規範倫理学とは|倫理学3分野と3理論の基礎
規範倫理学とは、「人はどう行為すべきか」を問う、倫理学の中心にある分野です。功利主義、義務論、徳倫理学という三つの代表理論は、同じ問いに見えても、結果、行為そのもの、人柄のどこに正しさの根拠を置くかで答えが分かれます。
経験機械とは?快楽だけで人は満足できるか
経験機械とは、ロバート・ノージックが1974年のアナーキー・国家・ユートピアで提示した思考実験であり、望むあらゆる経験を脳刺激で与える機械に接続するかを読者に迫る問いです。
メタ倫理学とは|倫理学の基礎と主要な立場
メタ倫理学は、善とは何か、道徳的な言明に真偽はあるのかを問う、倫理学でもっとも抽象度の高い分野である。規範倫理学が「正しい行為とは何か」を扱うのに対し、メタ倫理学はその前提にある「正しさ」そのものの意味と成り立ちを掘り下げる。
ビュリダンのロバとは?選択の麻痺と自由意志
ビュリダンのロバとは、左右に置かれた干し草が距離も量も質もまったく同じとき、どちらを選ぶ理由も見つからず動けないという思考実験である。14世紀パリ大学の哲学者・司祭ジャン・ビュリダンの名を冠するこの寓話は、本人の現存する著作には現れず、
アリストテレス倫理学とは|幸福・徳・中庸の基礎
アリストテレス倫理学は、紀元前4世紀の古代ギリシャでアリストテレスがニコマコス倫理学にまとめた、体系的に書かれた最初の倫理学とされます。勇気を臆病と無謀の中間に置く中庸の考え方は、たとえば会議で意見を言うか黙るかという場面にもそのまま当てはまり、遠い古典ではなく自分の判断の話として立ち上がるはずです。
応用倫理学とは|分野・規範倫理との違い
応用倫理学とは、1970年代初頭の医療と技術の急速な進歩を背景に生まれた、現実の行為の善悪を問う倫理学の一分野です。安楽死を認めてよいか、公害の責任は誰が負うのか、ヒト胚の研究利用をどう考えるかといった問いは、抽象的な理論ではなく具体的な判断を迫ります。
他者とは何か|哲学が問う「わかりあえなさ」
他者論とは、ヘーゲルの精神現象学(1807年)からレヴィナスの全体性と無限(1961年)まで、他者をどう捉えるかをめぐって積み重ねられてきた問いである。SNSのコメント欄で価値観の違う相手と言葉を重ねてもすれ違い、AIとの会話でも手応えのなさが残るとき、その感覚こそが他者問題の入口になります。